アジア杯サウジ大会は強硬開催? 延期の場合はロス五輪U23最終予選との日程重複問題が
朗報であると同時に、ある意味で想定外の決定だった。
アジアサッカー連盟(AFC)がこのほど発表した、来年以降の2年間における各大会スケジュール。
その中で日本国内での開催が決まっていたAFC・U23アジア杯の日程が、2028年1月4日から22日までと正式に決まった。
2028年夏に開催されるロサンゼルス五輪男子サッカーのアジア最終予選を兼ねる重要な大会は当初、2028年3月から4月にかけた期間も候補に挙がっていた。一転して同年1月開催となった影響で、新たな問題が生まれつつある。
サウジアラビア国内の情勢悪化に伴い、来年1月から2月にかけての開催が懸念されていたアジア杯サウジアラビア大会。現状では予定通りの開催か、1年の延期かの二者択一とされている。後者の延期に関しては、AFCのシェイク・サルマン会長(バーレーン)が10月に入って示唆したものだ。
延期となった場合、アジア杯とU23アジア杯との日程重複問題が浮上する。
この件に関して、日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長はこう語っていた。
「AFCはこれまでトーナメントコンペティションを重ねて来なかった。どのようにすればうまく開催できるのか。いろいろなアイデアを出していきたい」
AFC理事を務めるJFAの田嶋幸三名誉会長も同じ見解を示していた。
「どの国も困ってしまうので、まったく同じ時期に重なるとは思えない」
しかし、実際にはU23アジア杯の2028年1月開催がまず決まった。
一方で開幕が刻一刻と近づくアジア杯はどうなってしまうのか。宮本会長は「安全面が最優先される」と前置きした上で、次のような見解を示している。
「報道で知る限りは安全ではないので、現時点で簡単ではないと見ている」
サウジアラビアではイエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃が続いている。10月に入って首都リヤドのキング・ハーリド国際空港が立て続けに攻撃され、死者12人、負傷者309人を出した惨事はまだ記憶に新しい。
JFAはサウジアラビア第2の都市ジッダで開催されるeW杯(eスポーツのW杯)への日本代表選手の派遣を、現地情勢及び安全面の観点から見送った。10月中旬から予定されていたeW杯自体もその後に開催延期が決まった。
日本の外務省も10月22日に、リヤドやジッダなどの治安レベルを「不要不急の渡航中止」の「2」から「渡航中止勧告」の「3」へと引き上げたばかりだ。
「今回の件もそうですし、今までも例えば審判員を派遣するときなども、そういった外務省の情報は大切な判断材料のひとつにしてきました」
外務省の決定事項に対するコメントを含めて、宮本会長や田嶋名誉会長がアジア杯に言及したのは、10月下旬に都内で開催されたAFCの臨時総会後だった。
■最終的な結論は11月19日開催のAFC理事会
アジア杯の大会組織委員会関係者も参加した臨時総会では、アジア杯の開催可否に関しては結論が出なかった。今後は11月19日からタイで開催されるAFC理事会をめどに最終的な結論を出すとされる。宮本会長も次のように言及した。
「それまでにしっかりと情報を集めるべきだと考えています」
U23代表世代がA代表にも名を連ねるケースは少なくない。日本代表でも先の9月.10月シリーズで、FW塩貝健人(ヴォルフスブルク)をはじめ、2005年1月1日以降に生まれたロサンゼルス五輪世代の選手が4人招集されている。
アジア杯とU23アジア杯が重複した場合の選手のやり繰りが、田嶋名誉会長をして「どの国も困ってしまう」と言わしめた一因にもなる。
日本の場合は、アジア杯が延期された場合にさらに複雑な問題も浮上してくる。
W杯北中米大会後に異例の半年契約で続投した森保一監督は、来年のアジア杯をもって退任。後任には大岩剛氏が五輪代表チームとの兼任で就任する。
アジア杯が1年延期となり、一部でも日程がU23アジア杯と重複すれば、大岩監督が両大会で指揮を執るのは物理的に不可能となる。
ならば開催国をサウジアラビアから代えて通常開催する道はあるのか。田嶋名誉会長は言下に否定した。
「これから違う国で代替開催するわけにはいかないと思います」
AFCは26日に通常開催を前提として、アジア杯サウジアラビア大会の正式なマッチスケジュールを発表している。
しかし、情勢は現在進行形で悪化している。参加チームや現地へ応援に訪れるサポーターを含めた、すべての関係者の安全が完全に担保されない限りは、アジア杯を強行開催する理由は皆無となる。
その場合はeW杯と同じく日本代表の派遣を取りやめるのか。延期となった場合は契約が満了を迎える森保監督の処遇をどうするのか。
アジア杯とU23アジア杯が重複する場合の指揮はどうするのか。宮本会長はこう答えるに留めている。
「仮定の話になってしまいますけど、総合的にしっかりと考えたい」
私見で「現時点で簡単ではない」と来年の開催について思っても、JFA会長という立場ではこれ以上は踏み込めないだろう。
AFC理事会が開催される11月中旬まで、サウジアラビアから届く各種情報をにらみながらの日々が続いていく。



















