「反グローバリゼーションとポピュリズム」神保哲生 宮台真司ほか著
トランプがアメリカの大統領選に勝利した背景には、アイデンティティー・ポリティクスの問題がある。かつては少数派だった黒人やヒスパニックがグループとしてのアイデンティティーに基づいて政治行動をとった。今回は多数派である白人がアイデンティティー・ポリティクスに目覚めたとサッチャーのアドバイザーだったオサリバンは指摘する。もはや民主党や共和党という旗では多様な意見を集約できない。白人至上主義者は「仲間とは思えない連中」を叩きだそうとしている。彼らは自分の所属するグループの代表としてしか政治行動をとれなくなっているのだ。
6人の論客がトランプ化する世界を読み解く。(光文社 1400円+税)