• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
飯田哲也
著者のコラム一覧
飯田哲也

環境エネルギー政策研究所所長。1959年、山口県生まれ。京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻。脱原発を訴え全国で運動を展開中。「エネルギー進化論」ほか著書多数。

原発立地による地域経済への恩恵は「神話」

「崩れた原発『経済神話』」 新潟日報社原発問題特別取材班著/明石書店 2000円+税

 世界最大の原発が集中する新潟県の柏崎刈羽原発。新潟はいくつもの意味で、福島と「一つの組み紐」のように絡まり合ってきた。

 いずれも東京電力のエリア外にもかかわらず原発が集中し、首都圏への電力供給基地となっている。2007年の中越沖地震で、東京電力には危機への備えが全くないことが明らかになったが、ほぼ無策のまま福島第1原発は東日本大震災に襲われ、みすみすメルトダウンを引き起こした。故吉田昌郎所長が指揮を振るった免震重要棟は、より深刻な事態を回避することができた「最後の命綱」となったが、これこそが中越沖地震の教訓で唯一、直前に整備された対策であった。

 そして、福島第1原発事故の収束や賠償費用が膨れ上がる東京電力にとって、柏崎刈羽原発は経営再建の「命綱」ともいえる位置付けとなっている。ところが昨年10月の知事選で、再稼働反対を掲げる新人の米山隆一氏が、市民と野党連合の支援を受け、事前の大方の予想を覆して当選したのだ。

 新潟日報の取材班は、そこに追い打ちをかける。原発の立地する柏崎市は、同県内で原発のない三条市や新発田市と比べて、人口でも産業やサービス業でもその波及効果でも、地域経済への恩恵は「神話」であることを丹念に実証してみせたのだ。

 では、何のための誰のための再稼働なのか、本書は疑問を突き付ける。

 1996年の巻原発住民投票や2001年の刈羽村プルサーマル住民投票など、新潟は「国策としての原発」に民意を通して一石を投じてきた歴史がある。その民意を受けて誕生した米山知事は、福島事故の検証をせずに再稼働の議論には入れないとの公約通り、8月に新たな委員会を発足させた。

 古今東西の歴史は「周縁からの変革」を教えてくれる。新潟の民意がやがては「国策」を覆すのか、今後の展開から目が離せない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    正反対キャラを演じきる 佐藤健“視聴率40%男”の存在感

  2. 2

    沖縄県知事選で“黒歴史”隠し 佐喜真候補にもう一つの疑惑

  3. 3

    “元彼”と同時引退? 幻に消えた安室奈美恵の「再婚」報道

  4. 4

    焼肉通いは序章…星野源が狙われる新垣結衣との要塞デート

  5. 5

    花田家は崩壊寸前…貴乃花親方は協会批判し妻は見舞い拒否

  6. 6

    追悼・樹木希林さん 貫いた“奇妙な夫婦愛”と“ドケチ伝説”

  7. 7

    二宮和也はジャニーズの“条件”拒み…伊藤綾子と来年結婚か

  8. 8

    安倍自民がブチあげ「省庁再々編」は国民ダマしの常套手段

  9. 9

    安倍首相が総裁選で獲得 地方票「55%」の怪しいカラクリ

  10. 10

    吉澤ひとみの逮捕で…「元モー娘。」相次ぐ謝罪の違和感

もっと見る