著者のコラム一覧
飯田哲也環境エネルギー政策研究所所長

環境エネルギー政策研究所所長。1959年、山口県生まれ。京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻。脱原発を訴え全国で運動を展開中。「エネルギー進化論」ほか著書多数。

自らの選択を肯定することが幸せに

公開日: 更新日:

「僕らは生きる場所を選べる。」WYP 1500円+税

 今、デンマークが熱い。

 玩具のレゴやチボリ公園は以前から有名だが、今や「世界でもっとも幸福な国」として注目を浴びる。税金は高いが、社会的にも平等で階層がほとんどなく「アメリカよりもアメリカンドリームを実現しやすい国」とされ、創造的で変革に富む企業競争力の高い国として知られる。

 夏休みはしっかり5週間取り、日本よりもずっと平均労働時間が短いが、労働者1人・単位時間当たりの国内総生産(GDP)は日本の倍以上と生産性の高い社会だ。原発は40年前に国民的な議論で拒否し、住民所有の風力発電などで自然エネルギーが7割近くに達している自然エネルギーの先駆者であり先進国でもある。

 本書はその「謎」にインタビューで迫る。「デンマークに暮らす8人の人生から、これからの生き方を考える旅」と副題にあり、クールな雑誌の編集長、140人で共同体生活を送っている住民、カフェやショップのオーナー、2つの家族たちという、それぞれの物語に混じって、3人の日本人も登場する。世界一刺激的なビジネススクール「カオスパイロット」の学生、「風のがっこう」の創立者、ホイスコーレ(民衆高等学校)の教師だ。

 8人との会話を読み進むと、「自由に満ちたデンマークで幸せになれる方法は、自らの選択を肯定すること」とのくだりに出くわす。確かにそうなのだ。エネルギー政策でも他の社会政策でも、みんなで対話を重ねながら、自然と科学と人間社会の道理が通じる当たり前のことを当たり前に選択してきた社会なのだ。

 本書を読むと、日本に居たままデンマークを旅し彼らに出会い会話しているかのようだ。日本で息苦しさや行き詰まりを感じている人は、ひょっとすると、その「会話」を通して、これからの生き方が見えてくるかもしれない。

【連載】明日を拓くエネルギー読本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • BOOKSのアクセスランキング

  1. 1

    「最後の幕臣 小栗忠順 挫けども、折れず」増田晶文氏 非業の運命をたどった“ラスト・サムライ”の生涯を描いた1冊

  2. 2

    タイムトラベル専門書店 utouto(板橋・志村坂上)古い門をくぐった先に現れる築110年の蔵を改装した店舗

  3. 3

    「人手不足」なのに仕事探しに四苦八苦「年金だけじゃ生活できない!『定年バイト』奮戦記」林山翔平著

  4. 4

    「芝浦屠場千夜一夜」山脇史子氏

  5. 5

    「新しい戦中」に突き進んでいかないためにはどうしたらいいのか──「一寸先は闇」五木寛之、佐藤優著

  1. 6

    茨木のり子にいわさきちひろ…それぞれの生き方を貫いた女性たちが建てた家「女性が建てた家と間取り」田中厚子、松下希和著

  2. 7

    失敗にめげずニコニコの精神が成長の原動力に「発達障害の私だからこそ、成功できた」似鳥昭雄著/祥伝社(選者:稲垣えみ子)

  3. 8

    連載12352回 座右の書は新聞コラム <5>

  4. 9

    竹内薫(サイエンス作家)鈴木光司さん、またいつか宇宙と時空の神秘を語り合おう

  5. 10

    状況が変わってきた自転車をめぐる混乱を研究者が解説「『自転車』はどこに向かうのか」疋田智著

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・橋上秀樹監督代行とは何者か…原辰徳氏には干され、阿部監督が心酔した“野村ID野球”の継承者

  2. 2

    (3)巨人の次期監督は誰か…松井秀喜氏、桑田真澄氏より“現実味”帯びる原辰徳氏の4度目登板

  3. 3

    (1)阿部監督の暴行事件は巨人にとって“渡りに船”だったか…異様に早い「解任判断」の裏側

  4. 4

    ゾンビたばこ羽月隆太郎「共犯者暴露」の大きすぎる波紋…広島・新井監督の進退問題にまで飛び火か

  5. 5

    (2)阿部監督「長女の手紙」で潮目一変…巨人が“事件矮小化”を手引きしたのか

  1. 6

    高市首相「中傷動画」疑惑に逆ギレ答弁連発 質問した野党議員の制止振り切り“ご飯論法”で一気まくしたて

  2. 7

    絶好調!巨人・阿部慎之助を支える最強あげまんグラドル小泉麻耶

  3. 8

    ゾンビたばこ羽月隆太郎が涙の激白 広島内で「関与は6人」「壮絶イジメ」「裏切り」【会見全文】

  4. 9

    維新はシャカリキでも産業界は「ノーモア都構想」…企業がごっそり“脱・大阪”前年度比1.8倍増

  5. 10

    広島羽月 お立ち台で見せた初々しい“坊主頭”の意外な理由