「ミルコの出版グルグル講義」山口ミルコ著
編集者だった著者は退職した後、大学生に編集を教えるという仕事を依頼された。そこで、すべてはグルグルだから、生まれてから死ぬまでの「本の一生」を教えようと考えた。とりあえず出版社倉庫を見学に行くと、これから出荷される本の山と、断裁される本の山があった。
次に古紙再生工場に行くと、巨大な滑り台があって、大量の本が落下してきた。落下する過程で本はつぶれていき、次の機械にのみこまれる。砕かれていく本を見ながら、かつて自分の作った本もこんなふうに死んでいったにちがいないと思った。
元編集者が会社の外側に出てから見えた出版の仕組みを説明する体験記。(河出書房新社 1500円+税)