「人生でほんとうに大切なこと」稲垣麻由美著
現在、日本では3人に1人ががんでなくなっているが、死への恐怖と対峙(たいじ)するがん患者の心のケアを行うのが「精神腫瘍医」である。国立がん研究センター中央病院で精神腫瘍医を務めるのが清水研医師だ。
11歳で小児がんを発症した小宮聖斗は大学も2年で中退せざるを得なかった。ベッドの上で膝を抱え体を丸めていた聖斗に声をかけると、「暗くなると後ろからゾワーッとした感覚がやってきて、暗い穴に引っ張られて落ちていくようで眠れない」と言う。既に亡くなった一緒に治療していた友人のことを考えると怖いと。だが、死の漠然としたイメージを清水に話せたことで聖斗は落ち着きを取り戻す。精神腫瘍医の活動を紹介。
(KADOKAWA 1400円+税)