「新薬の狩人たち」ドナルド・R・キルシュ、オギ・オーガス著 寺町朋子訳

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 著者のキルシュは、米国創薬研究の第一線で35年にわたり活躍するドラッグハンター(新薬の狩人)。新薬開発といっても、ドラッグハンターが提案した創薬プロジェクトが医薬品に結実する確率はわずか0.1%。本書は、ペニシリンやストレプトマイシンといった有名な薬もそうした難関をいくつもくぐり抜けて登場してきた新薬であることを教えてくれる。

 マラリアの特効薬キニーネ、麻酔薬のエーテル、梅毒の治療薬サルバルサン、血糖値を下げるインスリン、経口避妊薬のピル等々、歴史上画期をなす新薬がいかにして生まれ、それがどのように製品化されていったのかを多様なエピソードを交えて描かれる。なかでも、ピルの開発に産児制限運動家のマーガレット・サンガーと資産家で女性参政権論者のキャサリン・マコーミックが深く関わっていたというのは興味深い。

 その他、利益に走る製薬会社の実態などにも触れ、新薬開発の陰で繰り広げられる人間ドラマが見事に書かれている。

(早川書房 2000円+税)


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