「遊廓に泊まる」関根虎洸著

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 昭和33年に売春防止法が施行されて遊廓は姿を消したが、旅館として残っているところもある。造作に遊廓時代の名残が見られ、青森県黒石市の中村旅館にある手すりが不自然に低い朱塗りの急な階段は、実は、かつて遊女の「顔見世」に使われていたという。

 同県八戸市の新むつ旅館の客室には、大胆なデザインの華やかな着物が飾られているし、遊女が来客祈願のために持っていた男性器をかたどった「金精様」も残っている。漁業と金山で栄えた新潟県佐渡の両津湊にある金沢屋旅館には、両津港に入港したアメリカのタンカーの乗組員が支払ったロシア紙幣が飾られている。

 豊富な写真のほか、遊廓に生まれた女性のインタビュー記事も載っていて、旅心をそそられる。

(新潮社 1600円+税)

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