「会計の世界史」田中靖浩著

公開日: 更新日:

 会計の歴史というと、数式や専門用語が出てきてとっつきにくそうなイメージだが、本書はそれを見事に裏切って、楽しい読み物となっている。

 まず登場するのはルネサンスの天才、レオナルド・ダビンチ。公証人を父に持つ彼のエピソードを交えながら、イタリアで簿記が発祥した歴史を説き起こす。

 次に、レンブラントを枕に、オランダの東インド会社に始まる株式会社と証券取引所の歴史を説明。舞台は変わって、産業革命時代のイギリス。スティーブンソンが発明した蒸気機関車が端緒となって減価償却という考えが生まれたことを解説。

 さらに、カーネギー、ロックフェラー、J・P・モルガンといったアメリカの大富豪たちを登場させて、大量生産、分業、原価計算などの方式が広まっていく経緯をたどっていく。

 その他、ビートルズの楽曲の権利を買い取ったマイケル・ジャクソンを例にコストとリターンの問題を説明するなど、有名人のエピソードを楽しみながら会計の勉強ができるという優れもの。

(日本経済新聞出版社 2200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ