「操られる民主主義」ジェイミー・バートレット著、秋山勝訳

公開日: 更新日:

 テクノロジーの進化によって、私たちはさまざまな情報にアクセスすることが可能になった。しかし当初自由をもたらすと思われていたテクノロジーによって、自由で民主的な社会の基盤は破壊されつつあるという。

 例えば自分と似た属性を持つ人と簡単にアクセスできるようになった結果、その集団の不利益に対する怒りは増幅される。ネットによって人は感情的かつ攻撃的になり、民主的な話し合いよりも過激な対立に導かれやすくなるというのだ。

 加えて、さまざまな行動記録が収集される昨今、ビッグデータを利用した選挙戦も珍しくない。米国大統領選においては、国産車購入者が潜在的な共和党支持者であるというデータから、フォード車購入者で最近投票していない人物を説得可能なターゲットとして抽出していたという。

 さらにグーグル検索の表示順位やフェイスブックが投票に及ぼす影響についても言及。プラットフォームを持つ者が独り勝ちする世界の危険性を指摘している。

 (草思社 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  4. 4

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 5

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 7

    中川翔子「Switch2転売購入疑惑」を否定も火に油…過去の海賊版グッズ着用報道、ダブスタ癖もアダに

  3. 8

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 9

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る