「死神刑事」大倉崇裕著

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「警視庁の方から来ました」といって、名刺を差し出す。そこには「警部補 儀藤堅忍」とだけあり、所属部署、連絡先など一切書かれていない。冤罪による無罪確定と同時に事件の再捜査を始め、「逃げ得は許さない」との信念で真犯人を追及していく。警察組織の傷をえぐり出す厄介者で、その相棒に選ばれた者は組織から疎まれ、出世の道も閉ざされる。そこからついたあだ名が「死神」。

 大塚東署刑事課の大邊誠は1年前の資産家殺人事件で甥の逮捕に関わったが、その甥に無罪判決が下った。そこへ儀藤が現れ相棒に任命される。最初はうさんくさく思っていた大邊だが、捜査を進めるうちに儀藤の類いまれな洞察力に感服するようになる。(「死神の目」)

 交通課勤務の三好若菜は、夫をひき逃げしたとして逮捕された妻の再捜査に当たるが、そこには予想外の真実が待ち受けていた。(「死神の手」)

 冴えない外貌に鋭い推理力。不気味さの底に潜む犯罪に対する強い憤り。常識破りで破天荒な名刑事が新風を巻き起こす。

 (幻冬舎 1700円+税)

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