あの作家も腕を磨いた「大学文芸誌」がにわかにブーム

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「文学部は就職に役に立たないからやめろ」

 最近、大学の進路選択で親にそう言われることがあるせいか、文学に興味を持つ学生は少なくなってきているという。しかし、かつては文豪の多くが文学部で学び、在学中から創作に励んできたのは事実。そんな流れで生まれた文芸誌が文壇を牽引。その流れを引き継ぐ学生も少なからずいる。

 そこで注目なのが、大学文芸誌だ。中でも有名なのは、「早稲田文学」と「三田文學」だろう。編集や運営は学生主体ではなく、大学からは独立した編集部だ。「三田文學」編集長の関根謙さんが言う。

「慶応義塾大学の支援を受けて刊行している季刊文芸誌ですが、編集・運営は完全に独立。編集には、アルバイトで参加する学生もいます。当時文学部の主任教授だった永井荷風を編集長に据えた1910年の創刊以来、資金難などによる数度の停刊を乗り越え、新進の書き手に発表の機会を鋭意提供してきました」

 創刊以降、編集に携わってきたのは、西脇順三郎、水上瀧太郎、原民喜といった面々。彼らの意志が今なお引き継がれているそうだ。

「『三田文學』は欧米やアジアの文学の動向を見守り、新しい文学の風を伝える媒体として、先駆的な役割を果たしてきました。主流の文学を追うのではなく、周縁からの心の叫びに敏感な雑誌であることも私たちのポリシーです」

 学生時代からここに作品を発表している作家たちも多くいる。

 芥川賞作家の遠藤周作もそのひとり。発表できるのは、慶応大学の学生に限らず、ほかの大学の学生にも間口を広げているというのは意外だろう。

「誌面には学生に発表の場を提供する『学生創作コレクション』というコーナーもあります。また24歳以下の作家が対象の『織田作之助青春賞』の発表の場でもあるのです」

 最近の文芸筋から高評価なのが、2005年創刊の「法政文芸」だ。学生編集長の齋藤卓未さんが言う。

「法政大学文学部日本文学科文芸コースの卒業創作の中から、担当教諭が選んだ作品を掲載。編集委員は卒業創作の構成、テーマ決め、特集企画、出版社とのやりとりを行います。最新号では、音楽と文学をテーマに平野啓一郎さんにインタビュー。角田光代さん、町田康さん、島田雅彦さんらにもエッセーを書いていただきました。また、学生が選んだ音楽を題材にした作品のあらすじ紹介も掲載しています」

 第6号(2010年)に小説を掲載している窪田真衣さんは、2015年に「ふざけろ」で第9回小説宝石新人賞を受賞(筆名「くぼ田あずさ」)。

 第8号(2012年)掲載の長野桃子さんの小説「僕の足元にはうさぎがいる」は、2013年度上半期同人雑誌優秀作に選ばれ、「文學界」(文芸春秋)にも転載されている。

 ほかにも、各大学に存在する学生主体の文芸部・サークルも、同人誌を定期的に出している。そのひとつ、立教大学の文芸思想研究会は「文藝工房」を季刊で発行する。

「ジャンルは幅広く、表紙などのグラフィックも学生が担当。学園祭などで販売しています。作家や出版を目指す学生もおり、作品を批評し合って互いの腕を磨く“合評会”の開催も人気です」(3年生の部員)

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