「クロストーク」コニー・ウィリス著 大森望訳

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 ヒロインのブリディは、画期的な脳外科手術EEDを受ける。その手術を受けると、恋人や夫婦がお互いの気持ちをダイレクトに伝えることが可能になるのだ。これは、そういう未来の時代の物語だ。

 ところが、手術が終わると、ブリディが接続したのは恋人のトレントではなく、会社一の変人のCBだった。心で思ったことがダイレクトに相手に伝わっちゃうのは便利なのか不便なのか、かくてドタバタが始まっていく。

 この小説が素晴らしいのは、ブリディの姉妹や会社の同僚などが目に浮かんでくるように描かれていて、そのリアリティーに圧倒されるのが第一。しかしそれだけのことなら、描写力のある作家だなと感心するに過ぎない。

 特筆すべきはその構成だ。変人とテレパシーでつながるだけでも大変だが、それはまだ序の口で、意外なことが次々に明らかになるのだ。えーっ、何なのそれ! と言いたくなることの連続なのだ。ネタばらしになるので詳しくは書けないが、そのたびに物語は奥行きを増し、面白さが膨らんでいく。つまり、物語のギアが上がる感じ。具体的に言うと、その回数は4度。いやあ、まったく楽しい。

 未来を舞台にした物語であるから、ジャンルでいえばSFなのだが、EEDという手術以外は、それがどういう社会なのか、まったく描かれないので気にすることはない。もし人の心が読めたら、という小説として読まれたい。ラスト1行もいいぞ。 (早川書房 2700円+税)

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