「落語小説集芝浜」山本一力著

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 時代小説の名手が古典落語を小説化した作品集。

 鮮魚の担ぎ売りの勝治郎は、酒好きがたたって信用を落としてしまう。恋女房のおしのに泣きつかれ、心を入れ替えて半年ぶりに仕事に出かけた勝治郎は、ひょんなことから市場近くの浜辺で大金が入った財布を拾う。仕事を放り出して帰宅した勝治郎は、さっそく朝湯、朝酒。このままでは元のもくあみと心配したおしのは、一計を案じる……。

 このお馴染みの「芝浜」も、書き出しから嘉永4年の出来事と年月日を特定、夫婦が天保3年の大洪水で身内を失っているなど落語では語られない設定も細かく描かれる。その鮮やかな筆力は、分かっている「落ち」でも新たな感動を生み出す。

 ほか、「井戸の茶碗」など人情味あふれる全5演目を収録。

(小学館 650円+税)

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