「闇夜の底で踊れ」増島拓哉著

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 伊達雅樹は日雇いのバイトやゴミ漁りで食べている。年収にしたら100万円ちょっと。ソープ嬢の詩織ちゃんに入れあげていて、気がついたら預金残高が823円! 財布の中身を入れても全財産7万円ちょっとしかない。3カ月前は40万円以上あったのに。偽名を使って暴力団がバックについていない闇金業者から借りまくり、詩織ちゃんの店に通うという怠惰で甘美な生活を続ける。

 1カ月で232万円も手に入れたが、堺にある闇金で免許証を差し出すと、担当者が一瞬、顔をこわばらせた。「おい、こいつや!」。伊達は免許証を引ったくって逃げた。

 19歳の作家が描くノワールノベル。小説すばる新人賞受賞作。

 (集英社 1700円+税)

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