• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger
北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「タイムマシンでは、行けない明日」畑野智美著

 高校生のあなたが初めてのデートの日、初恋の相手が目の前から永遠に消えた、とする。高校生のあなたは大学生になり、大学院に進み、初恋の人をまだ忘れられない。そのときにもしも、タイムマシンがあったらどうする? 過去に戻って、あの日に戻って、もう一度最初からやり直したいと思わないだろうか。本書の主人公丹羽光二は、かくて過去に戻っていく。

 作者の畑野智美は「国道沿いのファミレス」で小説すばる新人賞を受賞した作家で、「夏のバスプール」「海の見える街」など、青春小説に定評がある。つまりSF作家というわけではない。そういう作家がタイムトラベル小説を書くのかと驚かれる読者もいるかもしれないが、畑野智美は2年前に「ふたつの星とタイムマシン」という連作集を出している。

 実は本書と、その「ふたつの星とタイムマシン」(ちょうど文庫化されたばかりだ)は登場人物がダブっているだけでなく、互いを補っていたりするから、こういう過去があったのかとか、いろいろ発見があって、併せて読むと大変に面白い。念のために書いておくと、どちらを先に読んでもいい。

 タイムトラベル小説は数多く、近年ではスティーヴン・キング「11/22/63」という超傑作がある。我が国にも広瀬正の名作「マイナス・ゼロ」という傑作があるが、そういうタイムトラベルものが好きな方に、ぜひ本書をお薦めしたい。(集英社 1900円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元立教大生に聞いた 「奨学金破産」で人生転落するまで

  2. 2

    “玉木宏ロス”の癒やしに 坂口健太郎だけが持つ3つの魅力

  3. 3

    米が次期戦闘機ゴリ押し 安倍政権は血税1400億円をドブに

  4. 4

    73歳会長と親密交際 華原朋美“天性の愛人”のジジ殺し秘術

  5. 5

    結婚を前提に交際中…高畑充希を両親に紹介した坂口健太郎

  6. 6

    官邸が“裏口入学リスト”回収…不正合格事件が政界に波及か

  7. 7

    仲間由紀恵の病院通いも…周囲が案じる田中哲司の“悪い虫”

  8. 8

    カジノ法案 胴元がカネ貸し「2カ月無利子」の危険なワナ

  9. 9

    広島・菊池、ソフトバンク柳田も…地方の大学生を見逃すな

  10. 10

    加計獣医学部 図書館に本のない大学の設置認可は前代未聞

もっと見る