「本当に怖いのは、第三の脂肪」秋津壽男著

公開日: 更新日:

 肥満とは、食べ過ぎたものが脂肪として体内に“必要以上に”たまっている状態を指すが、健康へのリスクがあるのは皮下脂肪や内臓脂肪だけではない。近年注目されているのが、「異所性脂肪」と呼ばれる第3の脂肪だ。肥満の人はもちろんのこと、痩せている人でもついていることがあるのが異所性脂肪の特徴だ。そして、たまっていることが簡単には分からず、放置されやすく、結果として他の脂肪以上に生活習慣病のリスクを高める恐れがある。

 異所性脂肪はどこにつくのか。例えば、心臓だ。心臓の筋肉がサシの入った霜降り肉のような状態になり、筋力が低下して本来の動きができなくなり、狭心症や心筋梗塞が起きやすくなる。心臓を包んでいる心外膜の外側に、黄色い袋状になってつくこともある。すると、その周辺の血管にも脂肪がたまりやすくなり、血液循環が妨げられ、やはり、心疾患のリスクが高まってしまう。他にも、膵臓に蓄積するとインスリンをつくる機能が低下し、糖尿病のリスクが高まることも明らかになっている。

 脂肪肝になっている人は、心臓などにも同様に脂肪がたまっている可能性が高い。ただし、痩せていて脂肪肝ではない人でも、他の臓器に異所性脂肪がついている可能性はゼロではない。その原因は明らかになっていないが、エコー検査とCT検査によって、その有無は調べることができる。

 食生活を見直し運動を習慣づけることが、異所性脂肪を減らす近道だと本書。オリーブオイルや赤ワインを取り入れるなど食事のテクニックから、1週間で10キロを目標にするランニングなどの運動法も紹介する。

 見えない脂肪の恐ろしさを知っておきたい。

 (幻冬舎 1200円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然