「百歳を生きる処方箋」石川恭三著

公開日: 更新日:

 杏林大学名誉教授であり、今年で83歳の現役内科医が教える、「人生100年時代」への向き合い方。

 高齢者の認知症予防と体力維持のため、著者は5つの習慣を取り入れることを提唱している。そのキーワードは、「一読、十笑、百吸、千字、万歩」。

 1日のうち、1回はまとまった文章を読み、10回は声を出して笑い、100回(1度に10回)は深呼吸をし、1000字の文字を書き、1万歩を目指して歩くということだ。健康長寿を実現するには、ちょっとだけ無理をして頑張ることも大切だと説いている。

 著者自身も、日々さまざまなことにちょっとだけチャレンジしているという。例えば、10日に1冊のペースで文庫本を読むこと。活字離れは加齢に伴う脳の認知機能の低下を助長する可能性が高い。実際、高齢になっても認知機能が衰えていない人は、活字と縁を切らずに付き合い続けている人が多いという。

 近頃は本の購入もネットで簡単にできるが、年齢を重ねている人ほど書店に足を運んで購入するのがお勧めだと本書。書店に行けば自分の知らない世界の見本市のような雰囲気を味わえ、気持ちがわくわくする。運動にもなり、脳の刺激にもなり、一石二鳥というわけだ。

 自分の存在が認められる場をつくることも大切である。著者は今、中学生の孫娘の英語の家庭教師を務めている。これまで身に付けてきた経験や知識を誰かに伝えることは、心の張りにもつながる。

 高齢者は決して弱者ではない。家族から過保護にされてのほほんと暮らしていては、心身ともに老いる一方だ。自分自身を叱責する姿勢を堅持し続けることこそ、人生100年時代を元気に生き抜く秘訣だと教えてくれる。

(河出書房新社 1150円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは