「『盛り』の誕生」久保友香著

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「日本人の美意識を解明したい」と考えた研究者が、女の子の間で流行する「盛り」と呼ばれる現象に着目。プリクラ、つけまつげ、インスタグラムなど、さまざまなテクノロジーを駆使して、現実とは違うビジュアルを盛ってメディアで公開する技術を「シンデレラテクノロジー」と名付け、女子の間に起こった「盛り」現象を追いかけた。

 本書は、「盛り」がどのように始まりどのように広がっていったのか、誕生から今に至るまでの変遷を明らかにしていく。

 たとえば、当初本人をそのまま映す装置でしかなかったプリクラ機。画像処理技術の向上が、デカ目という現実離れした顔をつくり出し、仲間内のビジュアルコミュニケーションツールとして独自の発展を遂げた。著者は当事者にインタビューするなかで、仲間内の共通言語であるビジュアルツールを駆使して相対的な自分らしさを追求する女子の美意識を発見していく。なおブームの移り変わりは早く、今はデカ目や自撮りブームは去り、自然体の自分を他人に撮影してもらう「他撮り」の時代に突入。なので、撮影上手な男子の人気が急上昇中だとか。

(太田出版 2400円+税)

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