「ストーカーとの七〇〇日戦争」内澤旬子著

公開日: 更新日:

 ストーキングの始まりは、交際相手とのごくありふれた別れ話だった。遊びに行きたいという相手の要求を拒否した途端、電話が鳴りやまなくなった。相手は低姿勢で謝り、やり直そうというメールを送り続けてきたが、これ以上連絡するなら警察に相談するという返事を送った途端に態度が一変。これまでの交際内容を暴露してやる、浮気相手と勝手に決めつけた相手のところに乗り込んでやるなど、一線を越えた脅迫文を送ってくるようになった。念のため警察に相談に出向いた著者は、相手には前科があり、しかも偽名を使っていたことを知ってがくぜんとする。そこから途方もなく長い、ストーカーとの壮絶な戦いが始まった……。

 本書は、ストーカー被害者になった著者の体験を赤裸々に描いたノンフィクション。ネットでのやまない中傷や身の安全を考えた転居、弁護士や警察とのやりとりなど、当事者にとって恐怖と混乱でしかない事柄が次々と勃発。被害者が安全な日常を取り戻すためには、ストーカーを単に罰するだけでなく、ストーキングをやめられない加害者への治療が必要であることを訴えている。

(文藝春秋 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動