「絶声」下村敦史著

公開日: 更新日:

 7年前、“昭和の大物相場師”と呼ばれた堂島太平が行方不明になった。もうすぐ丸7年が経過し、失踪宣告がなされ、巨額の遺産が長男の貴彦、長女の美智香、次男の大崎正好の3人に相続されることに。正好は後妻の息子で、17年前に母と一緒に堂島家を追い出された。貴彦・美智香は自分たち親子を追いやった仇敵だが、3等分しても3億円が転がり込んでくる。三人三様、喉から手が出るほど金が必要で、互いに疑心暗鬼を抱きながら手を結ぶことになった。

 あと少しで遺産が手に入るというとき、父名義のブログが更新されていたことがわかる。太平は失踪当時、末期膵臓がんを患っており、とっくに死んでいるものと思っていた3人は驚愕する。本当に太平はまだ生きているのか。このままでは遺産が水泡に帰してしまう。ブログは偽物だと証明しようと躍起になる3人だが、ブログには本人しか知り得ない事実が次々に明かされていく……。

 突如現れた父の“声”に導かれるように闇へと追い込まれていく3人。意想外な結末が待ち構える極上ミステリー。

(集英社 1600円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」