「キネマ旬報物語」掛尾良夫著
墨田区にある東京高工(現在、東京工業大学)の生徒、田村幸彦は外国映画のファンで、いつも外国映画雑誌を持っていた。同級生の田中三郎はそれを借りて読んでいたが、やがて2人は浅草六区の映画常設館、電気館に足しげく通うようになる。田村は「沼の少女」という映画に出演したマートル・ゴンザレスに初めてファンレターを書き、それ以来、外国のスターにファンレターを送るようになる。スターたちは自分のポートレートにサインをして送ってくれたので、2人は音楽部の仲間を誘って、ブロマイドの版権販売を始める。そして活動写真の将来に役立つ雑誌が欲しいと考え、1919年に「キネマ旬報」を創刊する。
創刊100年を迎えた「キネマ旬報」の歴史を紹介する。
(愛育出版 2400円+税)