「山岳遭難の傷痕」羽根田治著

公開日: 更新日:

 1989年10月8日、北アルプスの立山三山を縦走していた中高年パーティーが遭難、10人中8人が死亡した。前日の天気予報では「明日、山は大荒れになる」と言っていたが、当日の朝は雲一つない快晴だった。だが、天候は午前9時ごろから急変し、季節外れの猛吹雪となる。空を見れば、層積雲の「土手」が見られ、天気の崩れが予想できたのに、彼らにはその知識がなかった。

 10人は予定どおり縦走路をたどり、引き返そうという声は出なかった。下りで他の登山者に追い越されたが、救助を要請しなかった。内蔵助山荘のオーナー、佐伯常行は、引き返す決断力がなかったことを指摘する。

 10件の山岳遭難を検証した登山者必読の一冊。

(山と溪谷社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは