「しあわせはノラネコが連れてくる」イ・シナ著 菅野朋子訳

公開日: 更新日:

 子供のころから平凡だった私は、入学した大学に馴染めず1学期で退学。入り直した大学も親の希望に沿った専攻がつらかったが、何とか卒業した。心がクタクタになり就職もできず、リュック1つで逃げるようにやってきた済州島で、私は1匹のノラネコに出合う。

 私が住み込みで働きだしたゲストハウスで掃除をしていると、裏通りを真っ白な猫が横切ったのだ。肋骨が見えるほどやせ細っていたが、人懐こくて穏やかな猫。ごはんをあげると毎日通ってくるようになり、韓国語で「ぼんやり白い」を意味する“ヒック”と名付け、かわいがった。ところがある日、ケガをして現れる。ケガが治るまで世話をするつもりが、一緒に過ごすうちに離れがたくなり、私は「家族」になる決意をする――。

 インスタグラムのフォロワー19万人超の、韓国でいちばん有名な猫・ヒックのフォトエッセー。

 ノラネコだったヒックが幸せになっていく様子と、ヒックと一緒にいることで癒やされ、少しずつ変わっていく「私」の姿がじんわりと心に染みる。ヒックのオールカラー写真128点付き。

(文藝春秋 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋