「しあわせはノラネコが連れてくる」イ・シナ著 菅野朋子訳

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 子供のころから平凡だった私は、入学した大学に馴染めず1学期で退学。入り直した大学も親の希望に沿った専攻がつらかったが、何とか卒業した。心がクタクタになり就職もできず、リュック1つで逃げるようにやってきた済州島で、私は1匹のノラネコに出合う。

 私が住み込みで働きだしたゲストハウスで掃除をしていると、裏通りを真っ白な猫が横切ったのだ。肋骨が見えるほどやせ細っていたが、人懐こくて穏やかな猫。ごはんをあげると毎日通ってくるようになり、韓国語で「ぼんやり白い」を意味する“ヒック”と名付け、かわいがった。ところがある日、ケガをして現れる。ケガが治るまで世話をするつもりが、一緒に過ごすうちに離れがたくなり、私は「家族」になる決意をする――。

 インスタグラムのフォロワー19万人超の、韓国でいちばん有名な猫・ヒックのフォトエッセー。

 ノラネコだったヒックが幸せになっていく様子と、ヒックと一緒にいることで癒やされ、少しずつ変わっていく「私」の姿がじんわりと心に染みる。ヒックのオールカラー写真128点付き。

(文藝春秋 1400円+税)

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