「食の歴史」ジャック・アタリ著 林昌宏訳

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 19世紀末の米国人の食生活は欧州人と似たようなものだった。1860年ごろ、フィラデルフィアの牧師、シルベスター・グラハムは、アルコール、肉、香辛料、性行為は健康によくないと説き、市場に出回り始めていた化学肥料を使って栽培した穀物は食べてはいけないと主張した。

 1880年にはグラハムの弟子、ウィルバー・O・アトウォーターが食に「カロリー」という概念を持ち込んだ。この概念により、食の指標は味ではなく、カロリーという数字になった。

 医学博士ジョン・ハーベイ・ケロッグもグラハムの信奉者だった。彼はコーンフレークを開発したが、それは消化不良の治療と性欲を減退させるためだったという事実を知る者はほとんどいない。

 食をめぐる意外な歴史や文化を分析した一冊。

(プレジデント社 2700円+税)

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