「花になるらん 明治おんな繁盛記」玉岡かおる著

公開日: 更新日:

 明治35年秋、貿易商高倉屋の4代目義市は、伏見の別荘で母・雅の古希の祝いを催す。元勲山県有朋ら招待客は、美術工芸で世界に名を馳せる高倉屋の贅を尽くした別荘に感嘆。高倉屋は、もともとは雅の父母が京都の町中で始めた呉服古着屋だった。それを雅が婿養子の夫らと大きくし、いまや万博にたびたび出品し入賞を果たすまでになった。

 翌日、娘の孝子が雅を訪ねてくる。孝子の浮かない顔に、雅は孝子の夫・誠一郎の浮気を確信する。皇居造営御用の受注が増え進出した東京店に出張する機会が多い誠一郎は、向こうに女がいるようだ。その苦しみは雅もかつて味わったことだ。雅の脳裏にこれまでの人生が蘇る。

 一代で呉服商を皇室御用達百貨店に育て上げた雅の人生を描く時代長編。

(新潮社 800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした