「嫁の家出」中得一美著

公開日: 更新日:

 品の夫・三左衛門は、北町奉行所吟味方与力。娘は既に嫁ぎ、あとは三左衛門が隠居して、息子の新之助が家督を継ぐのを待つばかりだが、三左衛門には一向にその気がない。品の夢は夫婦で江の島へ旅することだが、堅物の三左衛門は仕事を理由に取り合ってくれない。暇を持て余した新之助は、町医者の榕庵に出入りし、怪しい薬づくりに余念がなく、品は苛立ちを募らせるばかり。さらに、三左衛門から夜な夜な夜のお勤めを求められ、品はへきえき。

 友人の入れ知恵で妾の雪野を雇うが、品の企みに気づいた三左衛門に反撃され、2人の仲はますますこんがらがってしまう。意を決した品は、ひとりで江の島へ旅に出る。

 すれ違い中年武家夫婦を描く痛快時代小説。

(実業之日本社 700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは