「虜囚の犬」櫛木理宇著

公開日: 更新日:

 ある事件がきっかけでうつ病になり3年間隠遁(いんとん)生活を送っていた元家裁調査官の白石洛の元に、高校時代からの友人で茨城県警捜査1課の巡査部長・和井田瑛一郎が訪ねてきた。白石が7年前に担当した少年、薩摩治郎がビジネスホテルで刃物で刺されて殺されたというのだ。彼は被害者であっただけでなく、自宅には裸のまま首輪でつながれた痩せ細った女性が監禁されており、庭からは2体の死体が発見された。

 7年の歳月が流れたとはいえ、薩摩は白石が調査官として担当した2カ月後には高校を中退し、その後引きこもり生活を送っていたこともあり、最後に深く関わったのは白石だというのだ。一体、薩摩治郎とはどんな人物だったのか。白石は、薩摩治郎が、「僕は犬だ」と言いながら壁に頭を打ち付けていたことを思い出すのだが……。

ホーンテッド・キャンパス」で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞した著者による最新作。心のバランスを崩した経験を持つ主人公が、自らのトラウマと闘いつつも真相に近づいていく。暴力や支配の連鎖のおぞましさを、容赦なくリアルに描いている。

(KADOKAWA 1700円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意