「名医が実践する『疲れない』健康法」小林弘幸著

公開日: 更新日:

「自律神経を制するものが健康を制し、人生を制す」。これこそが健康の極意であると、自律神経研究の第一人者である著者は言う。内臓器官のすべて、とりわけ血管をコントロールしている自律神経は、私たちの体内環境を整え、あらゆる生命活動をコントロールしていると言っても過言ではない。

 アクセル役の交感神経とブレーキ役の副交感神経からなる自律神経だが、交感神経ばかりが優位になると血流が悪化してさまざまな生活習慣病のリスクが高まったり、免疫力の低下につながる。一方、副交感神経が優位な状態が続きすぎると、気管支炎などのアレルギー疾患がひどくなったり、肥満になりやすくなるため、バランスが肝心だ。

 疲労やストレスは自律神経を乱す大きな要因だが、ビジネスパーソンを中心とした研究では、1週間のうち木曜日に最も自律神経の働きが低下していることが分かった。一方、休みの前日である金曜日になると数値が回復することも明らかになっている。「やった、明日は休みだ」という思考が働くだけでストレスが軽減され、自律神経の状態はたちまちよくなるというのだから興味深い。

 本書では、自律神経をコントロールしてバランスを整えるためのさまざまな方法を伝授。例えば、日記を書くこと。ただし、書くのはたったの3行で、内容も①今日一番いやだったこと②今日一番うれしかったこと③明日の目標の3つでいい。これでストレスのもとがクリアになり、ハッピーな感情を呼び起こし、未来に目を向けるという効果が得られる。自律神経を整えるのに非常に優れた方法だ。

 ストレスや疲労が多い働き盛りこそ、自律神経を味方につけたい。

(PHP研究所 930円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ