「言葉を離れる」横尾忠則著

公開日: 更新日:

 美術界の巨匠によるエッセー集。

 古希を迎える前後、集中して読んだ中野孝次がその著作の一冊で、少年時代から読書の悦楽に耽(ふけ)り、読書の魔に取りつかれたような日々を回顧し、読書の喜びを与えてくれた「運命」に感謝していた。対する著者は、10代の終わりまで約20年間、読書とは無縁の少年時代を送ってきた。中野も自分も本が一冊もないような家庭に育ちながら、なぜこのような違いがあるのか。「宿命に気づく時」と題された一文では、自分に読書の興味と機会を与えてくれなかった「運命の謎」を探る。ほかにも、加齢とともに「ぼくの中の言葉の量が日増しに失われていく」のを実感しながらつづった表題作など、19編を収録した講談社エッセイ賞受賞作。

(講談社 640円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑