「美意識の値段」山口桂著

公開日: 更新日:

 著者は老舗オークションハウスで長年、スペシャリストとして日本美術を担当。スペシャリストとは、美術品を扱うための専門知識を持ち、その分野の作品の「鑑定」と「査定」ができる人のことだという。本書は知られざるスペシャリストの仕事と、美術品に「価値付け」がなされる舞台裏を明かす業界内幕エッセーである。

 スペシャリストの仕事の中でも、最も重要で、エキサイティングなのが「モノ(美術品)との出合い」。出合いの場はさまざまで、時にはホテルの駐車場の車の中や、新幹線のデッキだったこともあるという。至宝のごときモノと出合うための秘訣をはじめ、個性豊かな顧客たちや真の見分け方、そして美意識の磨き方まで。アートにまつわるエピソード満載の美術ファン必読本。

(集英社 840円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした