「理不尽ゲーム」サーシャ・フィリペンコ著 奈倉有里訳

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 高校生のツィスクは、豪雨で地下鉄の入り口に避難した群衆に巻き込まれて意識を失った。昏睡状態のツィスクに、祖母は音楽を聴かせたり、熱い風呂に入れたりして刺激を与え、目覚めさせようとするが、効果はない。主治医は、ツィスクには死という終着点しか残されていないと言う。

 男性国民全員の指紋を採るため、警察が昏睡状態のツィスクの指紋を採っていった。10年後、ツィスクは奇跡的に目覚める。壁に掛かっている大統領は10年前と同じ人物だった。ノートパソコンを見せられ、6時になるとネットが遮断されると教えられた。目覚めたら、祖国は独裁国家になっていたのだ。

 少年の目を通してディストピアと化したベラルーシを描く。

(集英社 2310円)

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