「ピリカチカッポ」石村博子著

公開日: 更新日:

 1903年、北海道に生まれた知里幸恵は、母方の祖母に育てられ、祖母からアイヌの神謡や英雄詞曲を伝えるユカラを教えられる。幸恵はアイヌの子どものための小学校に通うが、当時の学校ではアイヌ語は禁止されていた。

 幸恵は旭川で聖公会の伝道師をしていた伯母の元に移り、1918年の夏、教会を訪れた言語学者の金田一京助と出会う。金田一はユカラが浄瑠璃などの散文と違う叙事詩であると直感する。金田一の助力を得て、幸恵は「アイヌ神謡集」を著すが、いつしか忘れられていった。

 ところが、1973年、藤本英夫が幸恵の評伝「銀のしずく降る降る」を出版したことで再び脚光を浴びる。

 ユカラを伝えて19歳で死んだ女性の記録。

(岩波書店 1980円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方