「城郭考古学の冒険」千田嘉博著

公開日: 更新日:

 古代から近世まで、日本で築かれた城は約3万。その多くは城跡として身近な山や野にひっそりとたたずんでいる。本書は、世界遺産の姫路城など現代まで残った城郭をはじめ、忘れられた古城まで取り上げ、城から歴史を読み解くテキスト。

 城というと江戸時代の城をイメージしがちだが、堀や土塁で守りを固めた弥生時代の環濠集落をはじめ、中世の集落の中心にあった館や、軍事的要地に築かれた砦、寺院が武装した城郭寺院とさまざま。

 ほかにもアイヌのチャシや、沖縄のグスクなど、日本の城は実に多様性に富んでいる。信長は、城郭によって大名を頂点とする武士と商職人の階層的な編成(城下町構造)を実現した。天下人らが企図したそうした社会変革と城の関係を解き明かすなど、城郭考古学研究の成果と魅力を伝える。

(幻冬舎 940円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性