著者のコラム一覧
山上たつひこ

1947年、徳島県生まれ。70年「光る風」で注目され、72年「喜劇新思想大系」でリアルな画風のギャグを確立。74年連載開始の「がきデカ」が社会的ブームに。88年から小説執筆を開始。2014年、原作を担当した「羊の木」(いがらしみきお画)が文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。著書に「蝉花」「火床より出でて」「大阪弁の犬」「王子失踪す」ほか。

(15)目の前からエミューが掻き消えた

公開日: 更新日:
イラスト とり・みき

「純一」は市長が綾瀬につけた名前である。

 捨てられた子供の身元がわからない場合、市町村は戸籍法に基づき新しい戸籍を作る。両親は不明のままとし、姓名と本籍地は市町村長が決めるのだ。

「市長が『棄児』に名前をつけるのは役所の業務のひとつだ。書類上の手続きにすぎない。担当…

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