「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」佐藤青南著

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「サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻」佐藤青南著

 被疑者が真実を言っているかどうかを判断するのに、かつてはポリグラフ検査による虚偽検出が主流だったが、近年は、プロファイリングや行動科学の観点からの取り調べの研究もなされている。本書は、腕利きの行動心理分析官が、専門知識を応用して被疑者のウソを見破り、事件を解決に導くという設定だ。

【あらすじ】楯岡絵麻は警視庁捜査1課巡査部長。自称28歳。後輩の西野が捜査1課に配属された3年前からずっと28歳だったため、とうとう同い年になってしまった。

 絵麻は捜査1課の取り調べにおける最終兵器だ。通常取り調べは警部・警部補クラスが行うのだが、行動心理学を駆使した彼女の取り調べは被疑者の自供率100%といわれ、「エンマ様」という名を奉られている。

 絵麻の前に座っているのは自称アルバイトの崎田博史、23歳。3日前に大田区のスーパーの駐車場で3歳の少女が誘拐され、その被疑者として逮捕された。しかし、事件に関しては知らぬ存ぜぬを押し通している。一刻も早く少女の行方を突き止めないと少女が危ない。

 絵麻は東京都の地図を崎田の前に広げ、1区ずつ指で示し、感情をつかさどる大脳辺縁系の反応を確かめながら、さらに地域を絞っていき、アジトを特定する。

 しかし、そんな絵麻の前に、日本アカデミー賞主演女優賞を取っている女優が被疑者として現れる。絵麻は必死に相手の大脳辺縁系の反応をうかがうのだが、どうにも彼女の真意を掴みきることができない。なぜなのか?

【読みどころ】絵麻と被疑者との虚々実々の駆け引きが本書の読みどころ。栗山千明主演で連続テレビドラマ化もされている。本書はシリーズ第1作だが、現在10作目まで刊行されている人気シリーズだ。〈石〉

(宝島社 713円)

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