「白バイガール」 佐藤青南著

公開日: 更新日:

 警視庁には女性だけの白バイ隊「クイーンスターズ」がある。女性白バイ隊員約60人から選抜された12人の精鋭からなる交通安全運動やイベントでの走行演技を披露するチームだ。男性白バイ隊員と同じ練習を積み、競技大会でも優れた成績を残すエリートたち。総重量約300キロのバイクを見事に乗りこなす彼女たちは女性白バイ隊員たちの憧れの的だ。

【あらすじ】本田木乃美は、神奈川県警の新米白バイ隊員。島根県出身だが、箱根駅伝を先導する白バイに憧れて神奈川県警に入り、2年後白バイ乗務員養成訓練所への参加が許される。3週間にわたる地獄の訓練に耐え抜き、晴れて白バイ隊員になったのだ。しかし、まん丸な目で愛嬌のある顔、ぽっちゃり体形。おまけに「すみません」を連発するから、違反切符を切ろうにも相手ドライバーからばかにされてしまう。

 一方、同期の川崎潤は違反摘発を何よりも優先し、つい相手の事情を斟酌してしまう木乃美と違って、断固たる態度で取り締まる。着任後3カ月も経っていまだ小道路旋回を一度も成功できていない木乃美と違って、潤のバイクテクニックはずぬけている。

 ある日、潤が暴走バイクを追尾中に、バイクに乗っていた少女が事故を起こして死亡してしまう。潤の目には薬物を飲んでの暴走に見えたが、遺体からは薬物反応が出なかった。責任を感じる潤に対して、木乃美は少女は本当に薬物をやっていなかったのかを調べようと独自で捜査に乗り出すが、そこには思わぬ真相が待ち受けていた──。

【読みどころ】木乃美と潤という対照的な2人の女性白バイ隊員を軸に、白バイ隊員たちの固い絆が描かれていく。シリーズ全6作、木乃美の成長ぶりも楽しめる。 〈石〉

(実業之日本社 652円)

【連載】文庫で読む 警察小説

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言