「人生は片々たる歌の場所」長崎浩著

公開日: 更新日:

「人生は片々たる歌の場所」長崎浩著

 夏の昼下がり、妻と一緒に都心へ向かう電車に乗った。はす向かいの席に、若い女が座っていた。そののびのびとした肢体が、身につけているヒマワリのような黄色のワンピースをいっそう際立たせている。

 著者は今でも夏の昼下がりに電車に乗ると、時に黄色のワンピースの幻影をみる。(「黄色のワンピース」)

 著者はいつの頃からか京都に行くたびに金閣寺を見るようになった。派手な金色の衣装をまとっているが、かつては金箔が剥げ落ちたわびさびを感じさせる建築であったかもしれない。

 著者はそこに建築当時の人びとが愛した、前景の池も背後の松山もない金閣寺を見る。(「金閣寺」)

 日本の風景を叙景と短歌で描くエッセー集。 (北冬舎 2750円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁の「清純派枠」を狙うのは"二股不倫報道”の田中圭と同じ事務所の有望株という皮肉

  2. 2

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 3

    橋本環奈『天久鷹央の推理カルテ』コア視聴率も低迷…パワハラ報道前からあった"上げ底人気"疑惑

  4. 4

    趣里と三山凌輝に結婚報道…“希代のワル”羽賀研二を彷彿とさせる男の登場に水谷豊どうする?

  5. 5

    慶応幼稚舎の願書備考欄に「親族が出身者」と書くメリットは? 縁故入学が横行していた過去の例

  1. 6

    ベッキー不倫騒動が教訓 LINEはこうして筒抜けになる

  2. 7

    自民“裏金議員”西田昌司氏が沖縄戦に許しがたいイチャモン…次期参院選に推薦した公明は真っ青

  3. 8

    上智大は合格者の最大40%も…2021年から急増した「補欠合格」の現状

  4. 9

    人間の脳内のマイクロプラスチック量は「使い捨てスプーン」サイズ…8年前より1.5倍に増えていた

  5. 10

    嵐「解散ビジネス」で荒稼ぎの皮算用…総売り上げは500億に? 2026年5月に活動終了