「草原のサーカス」彩瀬まる著

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「草原のサーカス」彩瀬まる著

 恋人と同棲するために実家を出る前、依千佳は妹の仁胡瑠をサーカスに誘う。2人にとっては20年ぶりのサーカスだが、そのときまだ6歳だった仁胡瑠はよく覚えていない。アクセサリー作家として創作活動以外あまり関心がない仁胡瑠は、大手製薬会社で働く姉をよくできた人だとは思うが、その生き方を羨ましいとは感じない。

 やがて、会社から出向して大学で研究者として働くようになった依千佳は、結婚もして順風満帆な人生を送っていたが、自社製品の臨床試験のデータ改ざん事件への関与を疑われ、逮捕されてしまう。

 一方、人気アクセサリー作家となった仁胡瑠だが、その才能を見いだし、売り出しに関わってくれた貝原との関係がこじれてしまう。

 人生につまずいた姉妹の挫折と再起を描く長編。 (新潮社 737円)

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