「恐怖の正体」春日武彦著

公開日: 更新日:

「恐怖の正体」春日武彦著

 精神科医の著者によると、患者の症状の根底には、過去に遭遇したさまざまな「恐怖」が影響を及ぼしていることが少なくないという。また世の中には閉所や高所、先端などを恐れる「恐怖症」も存在する。一方で人間は恐怖小説やホラー映画、お化け屋敷など娯楽として恐怖を味わうことが好きな人もいる。こうした恐怖の正体に多視点から迫る科学エッセー。

 そもそも恐怖とは何かを定義。その上で神経症の一種である「恐怖症」について論じる。神経症の対象にはあらゆるものが含まれ、学術用語になっているだけで200を超えるという。

 ほかにも、恐怖に直面して時間の流れが減速して目の前の出来事が鮮明化する現象や、死がなぜ恐ろしいのかなどを考察しながら、人間心理の根源的な謎に迫る。

(中央公論新社 1012円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菅野智之めぐり「ドジャースvsヤンキース」争奪戦へ…オリオールズで孤軍奮闘もトレード要員へ待ったなし

  2. 2

    「聘珍樓」の3度目の倒産は“氷山の一角”か…格安店の乱立で高級中華が苦境に

  3. 3

    パワハラ報道の橋本環奈"人気凋落"が春ドラマで鮮明に…一方で好感度上げたのは多部未華子

  4. 4

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  5. 5

    さようなら元横綱白鵬…最後の最後まで“問題児”ぶり炸裂、相撲協会は「退職届」受理へ秒読み

  1. 6

    ドジャース大谷がヤンキース現体制を粉々に…「やはり獲得すべきだった」批判再燃へ

  2. 7

    「フラッと大阪万博」にトライ! 予約なし、行列を避けてどこまで楽しめるのか

  3. 8

    進次郎農相の痛恨ミス…備蓄米5キロ1800円でも相場が下がらないカラクリ

  4. 9

    出会いから10日で再婚…梅宮アンナに漂う危うさ

  5. 10

    秋篠宮家の初孫、慶事なのに…眞子さんの出産をテレビ・新聞は当初スルー、宮内庁発表が遅れたミステリー