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「グローバル格差を生きる人びと」友松夕香著

 参院選で「日本人ファースト」がウケた理由のひとつは日本がジリ貧になっているという劣等意識のせいだ、という説がある。国内外で横行する格差化を問う。



「グローバル格差を生きる人びと」友松夕香著

 米トランプ政権が発足早々手を付けたのが官庁の大幅人員削減。中でも最大の被害を受けたのがUSAID(米国際開発庁)だ。途上国支援などで世界に手を差し伸べてきたアメリカ外交の実行当局となってきただけに、これまでの努力をすべて放棄する策に出たのだ。著者はアメリカ留学を経て西アフリカでJICAの活動にもたずさわった経済人類学者。

 スマホはいまや世界中に普及したが、そのおかげでアフリカの一般庶民は欧米で人種差別が横行する実態を目の当たりにしている。たとえばアメリカの「ブラック・ライブズ・マター」などの激しい社会運動が展開されているさまを見るにつけ、従来、国際支援の主役となってきた欧米先進国に対する反感をつのらせ、自分たちを搾取する陰謀をめぐらせていると怒りを蓄積しているという。グローバル化の過程で中国がアフリカ進出に熱心なのはよく知られているが、その陰にはこうした事情も横たわり、これを中国やロシアがうまく利用して現地に食い込んでいる面もあるのだという。過去30年余にわたるグローバル化は結局、国際格差に帰着してしまったのだろうか。 (岩波書店 1034円)

「移動と階級」伊藤将人著

「移動と階級」伊藤将人著

 見慣れない書名のことばだが、これは「移動と格差」と読み替えてもいいだろう。要は「移動できる人」と「できない人」は経済格差によるということ。観光旅行や海外旅行はむろん、国内の移動にもそれがある。たとえば大学進学などで都会に移動できる(都会で生活できる)若者と地元以外に選択肢のない若者という違い。逆に「ジェットセッター」などと称する人々は世界を自由に移動し、マイレージもどんどんたまるが、本書によれば約3人に1人が、1年以内に居住する都道府県以外に移動したことがないと統計的に出ているという。

 著者は「戦後日本における地方移住政策史」の研究を専門とする社会学者。バリアフリー化が遅い日本ではあいかわらず障害者が外出しにくく、これも階級格差と密接にかかわる問題だ。通勤通学なども含めた「移動」という観点から格差の社会を見る新しい視座。 (講談社 1100円)

「子どもの体験学びと格差」おおたとしまさ著

「子どもの体験学びと格差」おおたとしまさ著

 昔、子どもは金持ちの子も貧乏人も近所の原っぱで一緒に遊び、ときには秘密基地を作って親の目を盗んだもの。しかしそんな話はもはや夢のまた夢。教育格差は親の資力次第とされ、富裕層の子に生まれるか否かで「親ガチャ」が流行語になったが、本書によれば教育格差だけでなく「体験格差」まで出ているという。たとえば稲作やイモ掘り体験も金を払って体験する「課金ゲーム」と化し、「生きる力」のようなものまで含めた序列化社会が徹底されつつある。これを教育学者は「ハイパー・メリトクラシー」(超能力主義)と呼び、従来の成績中心と学歴偏重の「日本型メリトクラシー」と合わせた二重構造になっているというのだ。

 本書はこうした実態を教育ジャーナリストの著者が取材し、「課金ゲームに煽られる親」と幼いころから「格差を刷り込まれる子ども」の双方に起こっている問題を浮き彫りにする。「必要なのは“理想の学校”より駄菓子屋さん」といい、いずれは駄菓子屋を開業したいという著者。その夢、かないますように。 (文藝春秋 1045円)

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