「山谷をめぐる旅」織田忍著

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「山谷をめぐる旅」織田忍著

 南條直子はアフガン取材で地雷を踏み、命を落としたカメラマンである。

 大学紛争が一段落した頃、年代的に「出遅れた」という感覚を持っていた南條はコンプレックスに悩まされていた。写真学院に通っていたとき、南條は年末に山谷の炊き出しを撮影し、写真を授業で提出する。講師はその写真を酷評し、写っている人たちを「敗者」だと断じて、写真を撮り直せないかと言った。講師は対象を突き放して客観的に撮るよう指示したのだ。南條は、自分には山谷でカメラをかまえる思想の強さも勇気もないが、ここで撮れなければ写真を撮ることはできないと思った。

 ほかに、山谷の映画を撮った佐藤満夫と山岡強一など、山谷に引き寄せられた人たちを追ったノンフィクション。

(新評論 2640円)


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