映画「海難1890」から95年後 トルコと日本の“友好”逸話
ロシア軍機がトルコに撃墜され、両国の関係は修復できない状態が続いている。日本にとってはトルコとロシアのどちらが親近感がある国かというと、やはり親日国として知られるトルコではないだろうか。
そんなトルコと日本のそもそもの関係を描いた作品が今日(5日)から公開される。「海難1890」がそれだ。タイトルの「1890」は1890年のこと。明治になって20年以上が過ぎた時だが、この年にオスマン帝国の親善訪日使節団がはるばる船でやってきた。
その帰途、台風に見舞われて、和歌山県櫛野崎(現・串本町)の沖で船が大破して沈没する。乗組員は600人以上。そのうち500人以上が海に投げ出されて、死亡する。そんな中、69人が地元住民の献身的な救助活動で助かったが、当時は世界最大規模の海難事故といわれたとか。これが日本とトルコの友好関係の原点で、この美談がトルコの教科書でも取り上げられている。
もっとも、話はそこでは終わらない。事故から95年後。イラン・イラク戦争が長期化する中、サダム・フセインが48時間後にイラン上空を飛行する航空機を無差別攻撃すると宣言。この際、イランへの定期便がなかった日本は、テヘラン(イラン)にいた日本人を救援することができない状態に陥った。その時にトルコが救援機を飛ばして日本人を救ったという。これは両国の友好の証しとして語り継がれている有名な話だ。
「海難」は日本とトルコの合作映画。日本人は内野聖陽や忽那汐里が演じている。トルコとロシアの関係が泥沼化しているが、オスマン帝国時代からの日本とトルコの関係を知るには、もってこいの映画である。