著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

不気味な実像を笑顔で中和させるパンサー向井の強い客観性

公開日: 更新日:

 例えば、正反対なキャラクターである先輩のピース・又吉直樹と仲がいいことでも知られている。又吉は自著で向井を「内面は自意識と格闘する高校二年生の男子のようである」(ワニブックス「東京百景」13年8月26日発売)と形容している。

「とにかくラジオが異常に好きで、散らかった部屋の中央にピカピカに磨かれた大きなラジオを御本尊のように置き、それを真夜中に一人聴いて薄笑いを浮かべているらしい。僕が友達を選ぶ上で大きな条件となる気持ち悪さをしっかりと有している」(同前)

 そう思うと、向井の爽やかな笑顔が、少し気味悪く、けれど身近で心地よいものに見えてくるから不思議だ。

「向井と一緒にいて嫌な気持ちになったことがない。てことは自分を出してない」とインパルス堤下敦は言う。それに対して向井は「トリオをやってるので、ボケの2人をいかに出すかっていう、割と自分を殺すタイプの仕事してるんです」(NHK「仕事ハッケン伝」14年8月20日)と答える。

「ドロドロしたムードを中和できる爽やかさを持っていると自負している」(ナターシャ「お笑いナタリー」15年3月30日)というように、向井は気配りと客観性でMCとしての信頼は厚い。その強い客観性は自らへも向かう。「お笑い好きの向井で言うと、ゴリゴリのお笑い番組に別に向井はいらないんですよ。でも、職業としては出たい。その葛藤と常に戦ってる」(テレビ朝日「アメトーーク!」19年5月30日)と。その葛藤はあまりにも残酷で魅力的だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃