著者のコラム一覧
原田曜平マーケティングアナリスト・信州大学特任教授

1977年、東京都生まれ。マーケティングアナリスト。慶大商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、独立。2003年度JAAA広告賞・新人部門賞受賞。「マイルドヤンキー」「さとり世代」「女子力男子」など若者消費を象徴するキーワードを広めた若者研究の第一人者。「若者わからん!」「Z世代」など著書多数。20年12月から信州大特任教授。

法律より世論…日本の民主主義に仏在住・ひろゆき氏が異論

公開日: 更新日:

 消費増税、政権の不祥事、悪化する日韓問題、台風災禍……。日本で生きる庶民を襲う不幸の数々に特効薬はないにしろ、せめて症状が和らぐ“処方箋”はないのか。日本におけるネット界のパイオニア・ひろゆき氏に訊く!

  ◇  ◇  ◇

原田 4年ほど前からフランスにお住まいですが、日本の政治家についてどう思われます? 小泉進次郎氏が環境大臣になり、“セクシー発言”などで話題になりました。

ひろゆき 英語がネーティブではない日本人が英語で話す内容について、いちいち言葉遣いを指摘すること自体、どうかなって思うんですよ。トランプ大統領が嘘をついているのに比べたら表現が適切ではないとか、超絶どうでもいいですよね(笑い)。

■セクシー発言の功罪

原田 僕はセクシー発言は必ずしも悪くなかったと思うんですよ。石原(慎太郎)元都知事も過去に環境大臣をやった経験から、環境とは意思であると言っていましたが、環境問題って普段の生活から距離が遠いから、どうしても意思を持てる一部の意識の高い人たちだけのものになりがち。福島だって一体どれくらいの福島県民以外が、福島の現状に強い関心を持てているかわかりません。本当はみんなが心底環境問題への関心を高められるのが理想ですが、全員に環境への意思を持ってもらうのは難しいかもしれない。だったら、ある種のファッションのように環境問題を考えることはかっこいい、という風潮をつくり出していかないといけない。そんなことを言いたかったんじゃないかな。それに内閣支持率は彼の起用で5%アップしました。

ひろゆき つまり、日本の政治家に求められているのは実績ではない。

原田 フランスでは大臣の言葉尻をとらえてニュースになったり、若いだけでスターになったりすることはない?

ひろゆき マクロンは若くしてスターになり大統領になりましたが、きちんと実績も重ねています。欧州ではキリスト教の安息日の考え方から長らく日曜日に仕事をするのは禁止されていました。マクロンは大統領になる前の2015年、日曜日にデパートが営業できる法案を通しました。通称“マクロン法”と呼ばれ、売り上げが10%上がったデパートもあります。カナダのトルドー首相も若いとはいえ実績を残しています。若くてルックスがいいというだけで、ちやほやされる状況は他国ではありえません。

原田 日本人は歌舞伎などもそうですが、家柄を重んじますよね。進次郎さんも政治家の4代目。

ひろゆき 僕は政治家の信念や中身ってものすごく大切だと思うんですよ。またフランスの話になりますが、フランスでは労働組合の力が強く、たびたび国鉄組合員がストをやっています。国鉄職員は終身雇用、早期退職が認められ、定年は52歳。独自の年金制度を持ち、給料の6~7割がもらえるうえに職員の家族も交通費が無料なんです。そのせいで国鉄は酷い赤字になっている。マクロンはそこにメスを入れようとしています。ストで電車が止まるなど支障が出て政権支持率も下がりますが、それでも社会を変えた方がいいというのがマクロンの考え。だからマクロンはきちんと未来を見据えた政治家だと僕は評価しています。

原田 日本では支持率が下がってでも強硬に政策を推し進められる気骨のある政治家は少ないかもしれませんね。

ひろゆき でもこのままだと日本の未来を見据えてやらねばならないことも、やらないままでどんどん進むんじゃないかと。

原田 最近の日韓関係はどのように?

ひろゆき 昔はアメリカが仮想敵国だったのにランク下がったなって思っちゃいます(苦笑)。一昔前、GDP3位の日本は1位のアメリカと闘っていたのに、今や12位の韓国を敵視している。勝てる相手というか、弱い者いじめというか……。それで内閣支持率が上がっているのなら安倍政権としては正解なのかもしれないですが……。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁