大高宏雄
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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

コロナ禍で奮闘する「下高井戸シネマ」が多くの観客から支持されるワケ

公開日: 更新日:

 この傾向は今に始まったことではないと思う。映画業界人が集まったからといって、それがどうしたと言う人もあろう。ただそこには何か理由があると考えていいのではないか。

 米アカデミー賞最有力と目される「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を見に行ったときのことだ。ロビーがとても混み合っていた。ちょっと驚いているとその前に上映されていた作品、佐藤健主演の「護られなかった者たちへ」が終わり、館内から多くの観客が出てきた。

 ロビーはこれから見る人、出口へ向かう人でさらにごった返した。壮観だった。嬉しくなった。下高井戸シネマという名称になる前から赴いている筆者は、このような混雑ぶりを久しく見たことがなかった。

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」がアカデミー賞最有力という要因はもちろんあるが、見逃していけないことがある。この作品と「護られなかった者たちへ」の客層が、全く違っていたことだ。

■さまざまな客層が「ついている」


 前者は映画ファンとおぼしき人たち、後者は高齢の女性層が多かった。作品によって客層が異なるのは当然である。だが、ここまで明快に色分けされるのはなかなかあるものではない。見事なくらいの変わりようだった。それは映画館にさまざまな階層、世代、年齢層の人たちが「ついている」からなのだと思う。その多様な層が非常に厚いように感じた。映画業界人も厚い層の一画を担っていると見ていいだろう。

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