著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

萩本欽一のひと言を機に 有田哲平がわれに返った「笑いの原点」

公開日: 更新日:

 そのため、せっかく司会者から話を振られても、司会者にツッコませるようなことは絶対にさせないという自己演出を貫いていたという。結果、ボキャブラブームが下火になるとともに、仕事は減っていった。

 そんな中で、ボキャブラ仲間でもある東貴博の誘いで、彼が脚本を務めた「東八郎記念ライブ」に出演。当時、バリバリにトガっていた有田は、泣いて笑っての人情ものコメディーを真面目にやるのが嫌で、稽古では過剰なテンションでふざけてセリフを言う学生ノリのような“イタい”行為をしていた。

 そのライブの演出を務めていたのが、萩本欽一。彼が見ているときのリハーサルでは、さすがにちゃんとやった。すると萩本から呼ばれ、意外なことを言われた。

「なんでキミは真面目にやるの?あなたはレールに敷いたものを壊したい人でしょ。自由にやったほうが楽しくなるんだよ」(TBS系「賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI」22年4月4日)

 実際、本番でそのとおりふざけたテンションでやると、前半は変な空気になったが、後半になるにつれ全部笑いに変わっていき、最後は泣き笑いのようになったという。結果、このライブがきっかけで「明石家マンション物語」(フジテレビ系)を皮切りに次々と番組出演が決まった。

 センスのあるひと言で落とすだけが笑いではない。冒頭の番組で有田が「俺たちが学生の頃、部室でやってたのっていうのは、ただ笑いを取りたいからしつこく先生をイジったり、ケツ出したりとかしてた」と回想していたように、その場をいかに楽しい空間にするか、それが笑いの原点にして核心なのだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし