「時代に挑んだ男」加納典明(39)ライバル2人、荒木経惟の写真は「私小説」、篠山紀信は「映像的」
2つの黄金期に稼ぎ出したカネは…
加納「荒木は荒木の時代感覚で撮る。お篠は対象物を正確にしっかり撮るね」
増田「そうなんですか。そこが僕たち素人にはわからない。荒木さんは無造作にシャッターを切ってる写真に見える」
加納「荒木はアラーキータッチな少し古い昭和的な世界。お篠はあかじめ絵が頭にあるんだ。例えばモデルとか女優撮るでしょう。彼は必ず映画の看板になるように撮る。それは従来型の写真家がやってきた世界の延長ですけど、彼はそれを近代的に進化させた。映像的に非常に鋭いものを持ってたから、相当なものが仕上がる。だから売れたんだよ。この世界、やっぱりいいものじゃないと売れないし評価もされない」
増田「やはり評価に足るものだと」
加納「僕自身は2人の写真をできるだけ見ないようにしていたけど、眼に入ったときは『今回のは悪くないな』とか『あ、これいいな』とか『これはつまんねえな』といろいろ感じた。やっぱり両者とも世界を持ってましたね。で、もちろんそれは意識してましたよ。でも俺は俺流のやり方で追っかけたということ。うん」