「検査依存型医療」をやめられない医者は地方で診療できない

公開日: 更新日:

 診察室では患者の検査データを読み取るのが精いっぱい。正直、その検査データと、患者さんの「○○ではないでしょうか」という言葉から病名を探っているのが現状です。

 そのせいか、ベテランの先生方からは「いまの若手医師は患者ではなく、検査データばかりを見ている。検査依存型医療をやめないと、簡単に検査結果がわからない地方で診療できないぞ」と言われます。

 ごもっともです。わかっています。ですから私は将来、田舎で診療しようとは思いません。検査データなしで診断しなければならない場所で、医者の仕事をする自信がないのです。

 しかし、それは私だけではなく若手医師の多くがそうなのではないでしょうか? いや、ベテランと呼ばれる人も同じかもしれません。

 なぜなら、医師の多くは大学病院の医局に入って専門医を目指すからです。大学病院で「教授」と呼ばれる先生も、得意分野の病気の臨床経験は豊富でも、ありふれた病気の診断治療の経験は少ない。そのため、検査依存型医療をやらざるを得ないのです。

 最近は、さまざまな診療科を回る研修医制度となっていますが、依然として多くの医師は「専門医」になることに重きを置いています。これでは、検査依存型医療は脱却できないし、地方に行きたがる医師も増えないのではないでしょうか?

【連載】当事者たちが明かす「医療のウラ側」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  3. 3

    元NHK岩田明子は何をやってもウケない…コメントは緩く、ギャグはスベる、クイズは誤答

  4. 4

    Mrs.GREEN APPLEとディズニーのコラボに両ファン懸念…売れすぎた国民的バンドゆえの"食傷感"

  5. 5

    のんを襲った"後輩女優の二股不倫報道"の悲劇…カルピスCMめぐる永野芽郁との因縁

  1. 6

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  2. 7

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  5. 10

    永野芽郁&田中圭の不倫スキャンダルをスルーするテレビ局の身勝手…ジャニーズの時の反省は?