著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

末期がんの治療の「平均的効果」と「個別効果」

公開日: 更新日:

 これまで取り上げてきた末期のがん患者に対する治療の効果についてまとめてみると、以下のようになります。

●年間の薬剤費が数千万円に達するような抗がん剤は、末期のがん患者の生存期間を平均3カ月くらい延長する効果がある。

●200人に数人は、がんが治ってしまう可能性もある。

●早期の緩和ケア導入は、生活レベルを改善するばかりでなく、寿命を縮めるというよりむしろ延長するかもしれない。

●終末期の酸素投与は、チューブにつながれる不都合を上回るような効果を期待することは困難かもしれない。

●終末期の点滴も効果がはっきりしないばかりか、浮腫や腹水を増やすだけかもしれない。

●副作用の点でしばしば敬遠されるモルヒネやステロイドホルモンは、副作用に注意すれば害を上回る効果が期待できる場合が多い。

 こうした現状を考慮すると、末期がんにお勧めできるのは、まず副作用に注意しながらモルヒネ、ステロイドの投与です。その場のつらい症状をコントロールすることで、抗がん剤や点滴や酸素は状況に応じて個別に考慮する――というところです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  4. 4

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 5

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 7

    中川翔子「Switch2転売購入疑惑」を否定も火に油…過去の海賊版グッズ着用報道、ダブスタ癖もアダに

  3. 8

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 9

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る